旧川上貞奴邸は、日本最初の女優川上貞奴と福沢諭吉の娘婿で電力王と呼ばれた福沢桃介が同居するために名古屋市の旧双葉町に大正9年に建てられました。建物の設計施工は、我が国の住宅に大きな影響を与えた「あめりか屋」という会社でした。
既に洋館部分は取り壊されていましたが、解体に先立つ調査の結果、現存している建物も昭和13年に建築家丹羽英二によって改築されていることがわかり、この改築されている部分には取り壊された洋館の材料が造作材を中心に転用されていました。
復原は、当時の写真と川上貞奴の関係者への聞取りを検証しながら、試行錯誤を繰り返して行い、内部のデザインや確証のない部分に関しては、同時期の「あめりか屋」の類例等を参考にしました。創建当初の建物が残されていた中央の2階建部分は文化財に準じた復原を行い、失われていた洋館部分は資料に基づいた推定復元です。
現在、「文化のみち二葉館」として公開されています。
所在地 | 名古屋市東区撞木町3丁目23 |
所有 | 名古屋市 |
規模 | 建築面積 372.52㎡(主屋のみ) 1階床面積 320.67㎡ 2階床面積 178.05㎡ 延床面積 498.72㎡(主屋のみ) |
階数 | 2階 |
構造 | 木造一部鉄筋コンクリート造 |
屋根 | 切妻、寄棟、素焼和瓦、いぶし和瓦 |
事業 | 現状・解体調査、復元設計、工事監理、 展示設計、ビデオ監修、報告書 |
記録 | 『旧川上貞奴邸復元工事報告書』 |