
古河市の旧富岡蔵は、明治39年に建てられた土蔵造りの見世で、道路拡幅に伴い、富岡氏が市有地まで曳家して古河市に寄贈されました。
移動する距離は約70mですが、道路が拡幅されて電線等の地中化後でないと曳家ができないことから、一旦道路際の建物を敷地奥に曳家して約2年間仮置きし、平成26年11月21・22日に道路を閉鎖して曳家を行いました。この仮置きの間には、東日本大震災の震度5強の大きな揺れを受けましたが、大きな被害はありませんでした。
今回の工事は、寄贈を受けた古河市が曳家後の基礎と耐震補強工事等と、同一敷地に建つ酒井蔵と共に外構整備を行いました。建物は、曳家すると新築の扱いとなるので、現行法規に適応する改修も同時に行い、可能な限り、伝統的工事仕様で行いました。
古河駅から5分程の立地条件の良い場所でもあり、石蔵の酒井蔵と合わせて様々な活用案が現在検討されています。
所在地 | 茨城県古河市本町1丁目6033 |
規模 | 建築面積 67.29㎡ 1階床面積 64.09㎡ 2階床面積 57.65㎡ 延べ床面積 121.74㎡ |
階数 | 2階 |
構造 | 木造土蔵造 |
屋根 | 切妻一部寄棟屋根 |
建設年代 | 明治39年(1906) |
業務 | 設計・工事監理:2013年~2015年 |

竣工外観 南東側

見世内部

曳家改修前の富岡家見世蔵

曳家の様子 道路上にレールを敷設し、 車輪の付いた器具を建物の底面に取り付けて曳く

重機のアームの力で曳く
(およそ70mを約40分かけて曳家した)