山武市伊藤左千夫生家等改修工事

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伊藤左千夫生家は、史跡として千葉県の指定を受けた建物です。史跡内にはこの生家の他、土蔵と茶室「唯真閣」(昭和16年移築)があります。いずれも昭和50年代後半に大掛かりな復原修理等の工事が行われ、特に生家については明治14年の家相図に沿って復原されています。
今回の工事では、耐震補強工事と茅葺き屋根の修理を優先した生家の修復を中心に、土蔵の屋根と外壁の修理、茶室の損傷箇所の修理と軒下の整備を行いました。
耐震補強工事では、鉄筋コンクリートの地中梁でそれぞれの柱下を結び、建物全体を一体の基礎としています。この基礎工事に際しては75㎝程度の揚屋をし、建物の下での作業となりました。また、耐震壁としては現状の土壁を補強し、要所には仕口ダンパーを設置しています。
茅屋根の補修については、北面・東面は30㎝程の表層葺替え、南面・西面は差茅による葺替えと、痛みの度合いに応じて分けています。差茅による面は、竣工時点においては古い茅と新しい茅で横縞模様をつくっていますが、しばらく時間が経てば、お互い馴染んでそれも解らなくなると思います。
この史跡は一般公開されており、隣接の三武市歴史民俗資料館では伊藤左千夫についての展示も見ることができます。

所在地 千葉県山武市
規模 1階床面積   159.87㎡
小屋裏床面積 26.94㎡
延床面積   186.81㎡
構造・形式 木造1階建
(土蔵:木造2階建、茶室:木造平屋)
屋根 寄棟、茅葺一部瓦葺、杉皮葺
業務 調査、実施設計、工事監理

 

旧伊藤左千夫生家正面(南側)修理前

旧伊藤左千夫生家正面(南側)修理前

竣工写真 旧伊藤左千夫生家裏面(北側)修理前

旧伊藤左千夫生家裏面(北側)修理前

工事写真 茅葺屋根葺替え作業(茅刈込み)

工事写真 茅葺屋根葺替え作業(茅刈込み)

竣工写真 旧伊藤左千夫生家裏面(北側)修理後

竣工写真 旧伊藤左千夫生家裏面(北側)修理後

工事写真 揚屋をしての基礎工事作業(基礎コンクリート打設)

工事写真 揚屋をしての基礎工事作業
(基礎コンクリート打設)