
N家は,築地から大正4年(1915)に現在地に移築されたと伝えられる洋館建築で昭和14年(1939)に当家の所有となって以来長く住み継がれてきましたが,07年,不幸にも火災に遭い焼損してしまいました。しかし修復は可能の判断から、焼け落ちた天井の復原や小屋組等の修理を行いました。
工事は08年5月から12月にかけて行われ,焼損箇所の復原を含む建物全体の耐震性能向上,雨漏りによる損傷の修理,各設備の更新等を実施しました。具体的には,炭化した木材の表面を欠き取ることから始め,雨仕舞の悪さから腐朽した構造材は継木をし,煉瓦煙突は地震による倒壊を考慮して,屋根から上の部分は木軸に煉瓦をスライスして貼りました。修復作業で最も困難であったのは天井の復原でしたが,工学院大学に残されていた調査写真と焼残った部材の調査等を照合して検討を繰り返し,復原することが出来ました。
所在地 | 東京都中野区 |
階数 | 2階 |
構造 | 木造 |
建設年 | 大正4年 |
業務 | 調査、改修設計、工事監理 |

復元された洋室

玄関内部