
この建物は建築家で、教育者でもあった滋賀重列の自邸で、現在確認できる唯一の作品でした。この建築史上価値の高い建物をどのように扱うか大変悩みました。オーナーも祖父が建てた家に愛着を持っておられましたが、快適な住まいを希望されていました。
建物を調査し検討を重ねた結果、この建物で特徴的な玄関、客室、書斎部分を残して改修し、これに続く居住部分は取り壊して別棟の主屋を新築することにしました。
改修した部分は、切り妻屋根の部分で、バンガロー様式と和風が巧みに調和し、テラスのある玄関を中心に左右に客室と書斎がありました。この部分を独立した建物として、短期滞在の外国の方に賃貸できることを目的に改修しました。この事業は埼玉大学の内田青蔵教授に監修していただきました。
所在地 | 東京都杉並区 |
規模 | 建築面積 71.88㎡ 床面積 63.62㎡ |
階数 | 平屋一部小屋裏部屋 |
構造 | 木造 |
屋根 | 切妻屋根・フランス瓦葺き |
調査 | 1998年 |
建造年 | 1931年(昭和6年) |
設計 | 滋賀重列 |
業務 | 調査、設計、工事監理 |

(白黒写真)昭和6年の竣工当時の写真、この外観はほとんど変わっていない。

(カラー写真)改修工事竣工写真、玄関テラスの壁は当初のままで補修し、屋根は旧瓦を用いて葺き直している

建物を一旦曳き家し、鉄筋コンクリートの基礎を施工後戻した

改修前の和室の書斎、窓はガラス戸の外に雨戸が設けられていた

改修後の旧書斎、和室の丸窓や下地窓を残し、ガラス窓の内側にはワーロン紙の建具を加えた