子規庵土蔵修理工事<都指定史跡>

子規庵は、東京根岸にある正岡子規(1867〜1902)の旧居で、多くの友人や門下らと共に、病に伏しながらも最期を迎える間際まで作品を作り続けた場所です。子規庵土蔵はこの敷地の一角にある1.5間×2間の土蔵です。昭和2年(1927)に妹の律や門下の寒川鼠骨らによって子規の遺品や墨書等の保管のため造られました。昭和20年の空襲により旧居をはじめ周囲は焼け野原となりましたが、この土蔵のおかげで子規に関わる貴重な資料は守られました。この空襲で焼失してしまった旧居は昭和25年に寒川鼠骨らによって復元され、同27年に東京都史跡に指定されています。
今回の修理工事では、主に損傷の見られた土壁を塗り直し、瓦を葺き替え、腐朽した木軸部の修理を行いました。

所在地 東京都台東区根岸2-5-11
規模 建築面積 13.26㎡ 
延床面積   9.91㎡ 
階数 平屋
構造 土蔵造
屋根 瓦葺き
建設年 昭和2年
業務 設計、工事監理

南面 竣工後。古写真を参考に窓庇をつけた。


ハナブカ瓦には正岡家の紋が入る


土壁を塗り直しと木部修理のため、
既存の土壁を落とした


荒壁付の様子