東京都の世田谷区に建っていた洋館が平成12年(2000)に解体され、建主に縁のある岡崎市に寄贈されて文化施設として復元されました。解体時には、照明器具や家具などを含めて、ほぼ全てが建設当初の姿を維持していました。また、建設時の図面や設計の経過、施工者の選定などの資料も残されており、住宅建築史上大変貴重なものです。
外観は、スパニッシュを基本とし、車寄にはチューダーアーチを用いるなど、デザインの要素が多岐に渡っています。特に2階の「お茶室」は、建具の額縁や家具から照明器具までアールデコ調に統一されており、一見の価値があります。
復元工事では、タイルや瓦、セメントタイル、壁紙などを、可能な限り当初材に合わせて復元製作しました。また、内外装の左官工事では、現在ほとんど使われない仕上を、当時の左官の技法を駆使して復元しました。
平成24年から一般公開され、各種イベントや市民活動の場として活用されています。
所在地 | 愛知県岡崎市欠町(東公園内) |
規模 | 建築面積 356.27㎡ 1階床面積 315.61㎡ 2階床面積 206.57㎡ 延べ床面積 522.18㎡ |
階数 | 2階 |
構造 | 木造一部鉄骨造 |
屋根 | 切妻屋根・フランス瓦葺き |
設計年 | 昭和7年(1932) |
業務 | 設計、工事監理:2008年〜2012年 (2000年に解体調査) |
特記なき写真はすべて村田尚隆撮影