上条集落調査

kamijou-zentai

上条集落の調査は、公益財団法人 日本ナショナルトラストの調査として2004年に行なわれました。
調査の目的は、基礎的な民家調査や、歴史・周辺環境・景観調査を実施し、歴史的・文化的遺産としての価値を明らかにするとともに、将来に向けての保存活用の方策を提案することでした。
上条集落のある甲府盆地の東北部の民家における切妻造りは、妻側壁面に棟木を支える棟持柱や棟束が見られる独特の外観が大きな特色です。集落の戸数は26戸で、東西、南北約300mの範囲にまとまっており、建設年代は18世紀から19世紀にかけての家が多く、最も古い家は17世紀後期と推定されます。

所在地 山梨県甲州市(旧塩山市)
事業年 2004年
業務 調査、研究
記録 上条集落の切妻民家群
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桁行10間、梁間4間という養蚕のための大型民家です。中央の突上げ屋根は小屋裏の採光、 通風、作業用の為ですが、屋根の突上げ方には6種類ほどの形式があります。

 

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規模は小さいが、当初の形態を良く残している民家です。屋根の材料は当初は茅葺きでしたが、 戦後に麦藁葺きになり、その後鉄板が被せられました。

 

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小屋裏は養蚕に使われるため、必要最小限の通し柱や束柱を立て、更に上に床を造っています。 柱に残る貫穴は、かつての小屋組を改築して養蚕に適した状態にしたことを示しています。

 

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集落で最も古い17世紀後期建設と推定される民家で、2軒の家が重なっていると見間違うほど、 大きな突上げ屋根を設けています。小屋裏からザシキの柱には蛤(はまぐり)刃の手斧(ちょうな)跡が見られます。